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2008.08.21  遠藤周作と歩く「長崎巡礼」  <<23:31


遠藤周作と歩く「長崎巡礼」 遠藤周作と歩く「長崎巡礼」
(2006/09/21)
遠藤 周作

商品詳細を見る


遠藤周作の本は,高校生の頃にけっこう読んだつもりでいた。
でも,あの頃読んだのは,『イエスの生涯』や『死海のほとり』 など,
『沈黙』を除けば,ほとんどが聖書世界を描いたものばかり。
うちはクリスチャン一族なので(僕はクリスチャンではないけれど),
聖書には馴染みがあってそれでとっつきやすかったのかもしれない。

で,それ以来彼の作品はしばらく読んでなかったんだけど,
先日,大友宗麟を描いた『王の挽歌』を読んで,
やはり「日本におけるキリスト教」というテーマが
僕にとっては面白いということが改めて分かった。

とりわけ,『王の挽歌』の時にもちょっと触れたことだけど,
日本という土地の持つ「屈折力」というもの。
その力は,外から入ってきたほとんどすべてのものに
大なり小なり作用している。そしてキリスト教に関して言えば,
その力が作用した痕跡をもっとも多く留めているのが長崎なのだと思う。

今回紹介した本は,遠藤周作の作品のうち長崎を舞台にしたもの,
その中で登場する場所が数多く紹介されている。
全然知らなかった史跡が自分の生活圏内にもあったりして驚いた。
それに,普段その前を通りかかったりして知っているつもりでいたけれど,
実はちゃんと見たことが無かったような場所もけっこうあった。
この本を参考に,暇を見つけていろいろ周ってみようと思う。

長崎には遠藤周作文学館があって,
一昨年ちょっと行ってきたんだけど,
あそこももう一度行ってみよう。

No.379 / 歴史,思想,社会 / Comment*0 // PageTop▲

2008.08.19  清水 アキ 『魍魎の匣(2)』 <<22:32


魍魎の匣 (2) (怪COMIC)魍魎の匣 (2) (怪COMIC)
(2008/08/18)
志水 アキ

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京極夏彦原作のマンガ『魍魎の匣』の第二巻。

このマンガの人物の絵は,
原作を読んで僕が頭に描いていたものとはかなり違うんだけど,
原作の「芥川の幽霊」とか「こけし顔」とかを忠実に絵にしているのだろうから,
僕のイメージの方がずれているのだろう。
でも監察医の里村はちょっと・・・。まあいいか。

この第二巻ではついに京極堂が登場するんだけど,
ページをぱらぱらめくっただけでも,
彼が出ている場面のふきだしの多さが目に付く。
小説を映画やマンガにする場合,
台詞の取捨選択はとても難しいことなんだろうけど,
京極夏彦の,特に京極堂シリーズの場合のそれは本当に大変だろうと思う。
シリーズのどれか一冊でも読んだ人ならわかるだろうけど,
京極堂が語る膨大な薀蓄や一見無関係な話は
聞き手に直接答えを教えるのではなく,
聞き手が自ら答えに辿り着くように誘導する,すべて計算されたもので,
下手にどれかをはずすと全てが瓦解しかねない。

No.378 / マンガ / Comment*0 // PageTop▲

2008.08.17  リンク <<23:29


左のリンクにいくつか入れてみました。

No.377 / / Comment*0 // PageTop▲

2008.08.15  オリビエーロ・トスカーニ『広告は私たちに微笑みかける死体』 <<23:05


広告は私たちに微笑みかける死体広告は私たちに微笑みかける死体
(1997/02)
オリビエーロ トスカーニ

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ベネトンの広告を手がけてきたカメラマン,オリビエーロ・トスカーニが
HIVや戦争,人種差別,貧困問題などのテーマで
様々な議論を巻き起こしてきた自身の写真を用いた広告について語る。
http://www.benetton.co.jp/company/ad.html

世の中に溢れる紋切り型の広告が考えさせないことを狙っているとすれば
トスカーニの作る広告の狙いは考えさせること。
この本で彼は一貫してそういうことを言っている。

これらの広告で,私は広告に満ち溢れている紋切り型と常識の支配力について,一般の人々と対話がしたかったのである。(p.56)

なぜ広告は,芸術やマスメディアのように,哲学的な遊びや感情を引き起こす要因であったり,論争の場所であったりしないのだろう?(p.56)

これらの写真はすべて,人間の偏見に向けられ,またその偏見を揺り動かすためのものである。(p.57)

メディアのインパクトの強さと,ポスターを貼った時に生じるパワー,つまり,今まで十分に活用されず,軽視されてきたアート,広告の力を使うのである。世論のむずがゆいところをひっ掻いてやりたいのだ。(p.110)

常識,社会通念の類をもう一度自分で考えてみよう
というのが彼の基本的な姿勢なのだと思う。
その結果常識と同じ結論に至ったのなら仕方がない。
ただ,自分で何も考えずに,周りがそうだから
というような態度に彼は反発していて,
それをやっているのが大半の広告だと考えている。

愚かしくも,美しいものにしか美を認めない(170ページ)

おもしろい表現。
一般に美しいとされてるものしか認められない広告を彼は糾弾する。
本書冒頭に列挙される「幸福」のイメージ,ばら色の肌,
友人のような父親,微笑を浮かべてお互いを讃えあう会社,
これらに続けてトスカーニは「もうたくさんだ!」と叫ぶ。
トム・ヨークが"fitter happier"で
やはり「幸福」のイメージを列挙した後で
「抗生物質漬けのブタ」と吐き捨ててるのを思い出す。

ベネトンの製品の質はもう知っているから
別に宣伝する気はないというカメラマンと,
そんなカメラマンに自由に広告を作らせるベネトン。
おもしろいことをいろいろやらかしてほしい。

この本のなかで日本は彼の作った広告を肯定的に受け容れた国として賞賛されていて,
実際『広告批評』なんか読んでいるとすごい人がたくさんいるなあって思ったりするけど,
一方で,ひどい宣伝ももちろんたくさんある。そういうものに対して疑問を持つ人が増えて
その手の広告が効力を失うといいなあと思う。そのためには疑うこと,考えること。

No.375 / 歴史,思想,社会 / Comment*0 // PageTop▲

2008.08.13  若桑みどり『クアトロ・ラガッツィ 上―天正少年使節と世界帝国』 <<22:52


クアトロ・ラガッツィ 上―天正少年使節と世界帝国 (1) (集英社文庫 わ 13-1)クアトロ・ラガッツィ 上―天正少年使節と世界帝国 (1) (集英社文庫 わ 13-1)
(2008/03/19)
若桑 みどり

商品詳細を見る


一昨年読んだ『クアトロ・ラガッツィ』が文庫になっていた。上と下の二冊。
僕はハードカバーで読んだんだけど,上下二段組で五百ページ強。
かなり集中して読んでも,読み終えるのに一週間かかった。
でもそれだけの時間をかける価値のある一冊。

若い頃,留学のため船でイタリアへ向かった自分と
同じく船でヨーロッパへ向かった天正少年使節団。
その両者を重ね合わせて描くプロローグ。

日本側とヨーロッパ側の膨大な資料を示しつつ,
時折述べられる著者の心的態度。

証拠?人間よりも一枚の紙や一個の印鑑を信じるのが歴史家ならば,私は自分が歴史家ではないことに確信を持っている

人間の価値は社会において歴史に名を残す「傑出」した人間になることではない。それぞれが自己の信念に生きることである

そして最後に中浦ジュリアンの殉教が描かれる。
感動する本のジャンルは,詩や小説だけではなくこの本のような学術書でも可能だし,
また感動させる要素は,作中人物間にだけあるのでなく著者と人物の間にもある。
あたりまえのことかもしれないけど,昔,パンクロックを聴いて感動して,
泣ける音楽とはバラードとかだけじゃないんだと知ったときのことを思い出した。

No.376 / 歴史,思想,社会 / Comment*0 // PageTop▲

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